この夏は台湾映画三昧

6月の台湾旅行が想像を超えて心にのこったせいか、台湾を舞台にした映画に2本出会ったので観てきました。

1本目はワントン監督の『無言の丘』。Ksシネマで開催されている台湾映画祭で鑑賞。台北九分で大正時代から戦後、国民党軍に接収されるまで、九分では金の採掘が日本企業によって行われていました。その史実に基づいて作られた映画で当時の悲惨な炭鉱夫の生活が良く描かれていました。九分という地名の由来。あまりに山奥にあるため、村人が里に下りて買い物するときには村人全員分(9世帯分)を買ってきて生活したという厳しい地形事情から来たものです。

私が訪れたときはそんな厳しい状況を感じさせるものはほとんどなく、観光客でひしめきあう風光明媚な場所でした。とはいえ、バスで山道をドライブして1時間かかった山のなかにポツンとできた集落だった場所。有名な茶屋から遠くに海を眺めたとき、周りではしゃぐ客と同じ気分になれず、もの悲しくセンチメンタルな感情になったのは当時の村人がどういう思いでここに移り住んできたかを想像したからです。

それと同じ感情が沸き上がったのが、映画のワンシーンで炭鉱夫や赴任日本人相手の売春宿のお茶子が丘から海を見下ろして「故郷に帰りたい」と泣くシーンでした。この炭鉱に集まる者は皆、それぞれの厳しい事情がある移民や逃亡者とその家族。誰もがここにいたくて住んでいるわけではない。いつか故郷に錦を飾りたいと思って、祖先が生まれた福建省や琉球に戻れる日を夢見て耐えている。その心情がよくわかる映画でした。

十分の滝を訪れたとき、脇にさびしく置かれたトロッコと線路跡。草が生えて誰も気にしなかったのですが、ガイドさんに「実際使われていた当時のものですよ」と説明されたトロッコを汗水たらして押していた人たちがいたのだなあと画面を見ながら想像。当時の歴史や移民の事情などがわかる映画でした。

2本目はエンジェルテン監督の『クジラが消えた入江』。台湾南部と香港を舞台にしたフィクション。南部の豊かで素朴な自然と海岸線。主役ふたりの時空を越えた魂のつながりがマッチしてこちらも胸アツ。1作目は痛みの胸ズンでしたが、こちらは青春の胸キュンかな。主題歌も併せてとても素敵な仕上がりでした。ただし、時空を越えた設定の理解が難しくて、フェンディ・ファンのファンになったこともあり、2度劇場鑑賞しました^^;

詳しいネタは明かしませんが、私は前情報一切なく楽しめました。もし、レスリー・チャンのファンの方がいたらぜひご鑑賞ください。とても嬉しい気持ちになるはずです。

台北旅行後に台中台南もいいねと話したあとに観た映画だったので、映画を観終わってから舞台になったと思われる台南のロケ地を地図であれこれ検索。

台北は日本旅行社のオプショナルツアーが充実していましたが、台中台南のツアーはぐっと少ないです。あったとしてもガイドが中国語しか話さないなど、けっこう回るのが難しそうかなあ。仕方ない。台北ツアーで台湾語の歴史について調べたこともあるので、中国華語と台湾語を少し勉強し始めようかなと思います。ある程度会話がわかるようになったら個人ガイドを雇って回るかな。台中台南の旅はもう少し先になりそうです^^;