皆様、こんにちは。
X(旧Twitter)アンケート機能を使用して、インボイス制度スタート1か月時点における「実態&意識調査」をしました。この調査は2022年7月、2023年3月に引き続き今回12月に実施して、初回調査からなるべく同じ質問を重ね、必要に応じて「新規質問」を加えつつ実態と意識が「どのように推移したか」を見ることが目的です。それではさっそく結果と考察です。(注:①2022年データがない設問があります。また今回新規に加えた質問は2つです。②数値は左から2023年12月、2023年3月、2022年7月の順番です。)
1)【全員対象】
今年10月から実施「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」の
内容も含めて知っている(最新情報を入手している)
40.8% 40% 47.6%
内容がいまだによくわからない(反対に悩みが出てきた)
59.2% 60% 52.4%
【考察】
2022年から数字の動きを見るとあまり変化なし。最大の問題点はいまだに6割が「内容がよくわからない」また反対に悩みが出てきたと回答。
2)【全員対象】 注記)2022年はデータなし
インボイス制度に対して適格請求書事業者として
すでに登録した
30% 6.3%
登録予定である
4% 14.3%
決めていない、または免税業者のまま
62% 77.8%
他の業種へ、または会社員に
4% 1.6%
【考察】
すでに登録したまたは登録予定で35%。昨年、免税のままいくという数字が減った。これは理解して納得して登録したのかいやいや登録せざるを得なかったのか。さらに、業種替えまたは会社員に転職した方は増えた。
3)【全員対象】
取引先からインボイス制度について説明または「課税免税について意向調査が」
あった
71.4% 54.1% 9.2%
説明や意向調査はない
28.6% 45.9% 90.8%
【考察】
さすがに今年3月の調査ではまだ半数近くだった意向調査が大きく伸びて、7割を上回った。しかし、説明も意向調査もない数字がスタートした今ですら3割近くというのはどういうことなのだろう。取引先の意見を聞いてみたい。
4)【質問で3「あった」と回答した方対象】
インボイス制度導入に備えて
適格事業者になってほしいと言われた
25% 51.4% 81.8%
免税事業者でも取引を続けると言われた
75% 48.6% 18.2%
【考察】
適格事業者になってほしいという数字は減った。その分、免税事業者のままでもよいよという回答。ここは表向きの数字だけ見ればありがたい。しかし、続けるとは言われたが実際に以前と変わらず仕事が来るのかどうかは、今後さらに実態調査を続けてみる必要があると感じる。
5)【質問4で「適格事業者になってほしいと言われた」方対象】
インボイス制度導入に際して
適格事業者になれば価格アップした
0% 8% 3.4%
適格事業者になっても価格はそのまま
100% 92% 24.1%
【考察】
適格事業者になるにあたり、いわゆる10パーセント分を誰が負担するかが当初からずっと議論されてきたわけだが、実際価格アップ=取引先が負担するというところはゼロ。価格そのままということはその浮いた10パーセント分を自分が負担している結果に。これは経営圧迫するだろうと予想。
6)【質問4で「適格事業者にならなければ価格引き下げと言われた」方対象】
価格引き下げられたら、経営は
なんとかやっていけている(影響なし)
23.5% 38.1% 59.8%
なりたたない(廃業、他業種や会社員に)すでに転業
76.5% 61.9% 40.2%
【考察】
昨年の数字では半数近くがインボイス始まってもなんとかやっていけると見通していたが、さて、ふたを開けたら成り立たないと苦しい状況を訴えている人が約8割。だんだん数字が悪化している。この分では次回調査では、廃業またはすでに転業する数字がもっと増えるだろう。この業界の将来はどうなるのか懸念。
7)【質問6で「適格事業者にならなければ単価引き下げ」と言われた方対象】注)2022年データなし
翻訳通訳経験年数は
1~3年
20% 14.3%
3~5年
13.3% 0%
5~10年
13.3% 28.6%
10年以上
53.3% 57.1%
【考察】
前回調査でも個人的にはここが一番予想をはずれた。予想では単価引き下げはキャリアが浅い人に向けて圧迫が行われると思ったらベテランに集中砲火。実際、キャリアがある人の方が単価が高いとなればそちらを切るほうが取引先の痛手は減るということなのだろう。今回調査で前回の傾向がどうなるかと思ったらあまり変わらず。前回調査ではベテランとキャリア浅い人への集中砲火がどのキャリアの人にも振り分け。それでも半分はベテランつぶしとなっている。一概に言えないが、キャリアがあればその分クオリティが担保されやすいと考えれば、質より経営を優先せざるを得ない取引先の事情も見える。
8)【全員対象】注)2022年データなし
インボイス制度について不安なのは
経営全般や運転資金
17.8% 24.5%
現在より将来性
33.3% 45.3%
経理税務面の知識やコスト
48.9% 30.2%
【考察】
今年3月でまだイメージだけにとどまっていたのだろうが、実際はじまって将来性と経理税務処理でてこずっている感がある。税務処理に関するコストや時間がほんとうに面倒そうでその負担が消費税10%以上に経営圧迫。
9)【全員対象】注)2022年データなし
業界団体に望むのは
インボイス制度について業界セミナー
51.5% 31.3%
インボイス制度について具体的な個別相談
48.5% 68.9%
【考察】
この数字は前回調査とそれほど大きい変化はないが、制度全体についてセミナーを望む数字が上がってきた。この内訳を詳しく聞いてみたい気がする。JATやJTFがもっと突っ込んだ内容を精査してくださるだろうからその結果と合わせて注目。
10)【全員対象】注)2022年データなし
インボイス制度についてわからないことや不安を
相談できる団体、知人、専門家がいる
19% 29.4%
相談できる知人や専門家がいない
81% 70.6%
【考察】
この結果からも制度が始まって以前も誰に相談してよいかわからないが、さらにその深刻さが増したという実情が見える。こんなままで制度を続けてよいものなのだろうか。
11)【全員対象】注)★印は今回新規選択肢を追加
インボイス制度について現段階
賛成
2% 3.8% 3.7%
反対
93.9% 87.9% 83.1%
現状問題点がなくなれば賛成
2% 10.3% 13.2%
★以前賛成だったが問題が出てきたので反対
2%
【考察】
昨年7月今年3月は8割台だった数字が急激に伸びて94%。さらに、以前は賛成だったが始まってこれはダメだと思ったのか反対に回った人も2%。合わせると96%が反対。こんなに支持されていない制度があるだろうか。当局筋は理解していただけるようにと言っているが、1年以上たって反対に理解が減っている実情はなぜかという反省がなければ賛成が増えることはないだろう。
12)★新たに今回加えた質問★【全員対象】
インボイス制度が始まってから、あらたに出てきた悩みや悪影響はありますか?
ある
65.2%
ない
34.8%
【考察】今回あらたに設けた質問である。予想と現実のギャップを見たかった。案の定、予想と違って悩みが出てきたまたは悪影響を感じる方がほぼ7割。こういう悩みや悪影響の解決に時間もコストもかかるとみられ、結局経済活動に大きな支障が出ると懸念。
13)★新たに加えた質問★【適格事業者対象】
消費税申告に関して、対策は十分ですか?
十分で不安はない(すでに税理士に頼んである)
31%
不安(まだ頼める税理士が見つかっていない)
69%
【考察】
これも新たな質問。税務処理に関して「消費税申告」がある。これは確定申告と別に申告書類を作り提出しなければならない。個人的なことを言うと、数年前からいろんなインボイスセミナーに出てこの「消費税申告書作成提出」を聞いて、私には準備が無理だし面倒だなと感じて、簡易であろうと適格事業者は数年見送りとした。消費税申告は絶対避けられないのに、まだ「依頼できる税理士が見つかってない」とは致命的な問題である。これは当事者の問題ではなく対応できるだけの税理士がいないということなのだろう。
【全体を通しての思い】
さて、この非常に大きな大問題について政府当局は何も解決策を提示していないと思われるが。軽減措置うんぬんという提示もまず年限が切られている点、結局基盤が変わらなければ準備する側の負担は変わらないのではないかと懸念している。軽減措置云々で得られると主張される内容に実効性は期待できないというのが個人的な感想。ならばいっそインボイス制度をいったんひっこめてほしい。
